FTMP場の理論に基づくラスマルテンサイト組織のモデル化とクリープ損傷過程のマルチスケールシミュレーション: 第2報：シミュレーション結果と評価について

摘要

高Crフェライト系耐熱鋼は，高温，高圧条件下において10万時間を超える長時間域でクリープ強度が急激に低下することが報告されている.これは同材料の内部組織であるラスマルテンサイト組織の不均質回復によって引き起こされるが，同組織は複雑な階層構造を持っているため，同回復挙動のモデル化は多重スケールでの不均質場の発展を考慮することが必要不可欠である.本研究では，FTMP場の理論に基づき，組織内の不均質場を表す不適合度テンソルおよぴ転位密度テンソルを用いることで，多重スケールでの不均質場の発展を考慮したシミュレーション手法を確立し，同回復挙動の再現を試みる.