オープンエデュケーションとラーニングアナリティクスの関わり:MOOC を活用した学習環境の改善に向けて

摘要

高等教育機関において教育学習をオープンにする活動「オープンエデュケーション」の普及が進んでいる．その先鞭を付けたのがオープン教材（ Open EducationalResources，以下OER と表記）と大規模公開オンライン講座（Massive Open Online Courses，以下MOOC と表記）である．MOOC は大学の講義資料を公開するオープンコースウェア（OCW）と同様に，大学の教育活動で培われた知の普及，学習機会の増進に寄与するだけでなく，優れた講義資料をOER として蓄積公開し，予習中心の学習形態である反転授業（Flipped Classroom）のような効果的な教育手法の予習教材として活用できるなど，大学教育のナレッジ継承や質向上に寄与するポテンシャルを持つ．欧米諸国においてはCoursera やUdacity，edX やFutureLearn など，教育ベンチャー企業や大学コンソーシアムによるトップ大学のMOOC が数多く開講され，すでに研究総合大学が対面講義によって提供している学問分野は，ほぼ網羅されつつある．我が国においても2013 年にMOOC 普及を推進する協議会「JMOOC」が設立され，2014 年から日本語によるMOOC の開講も行われている．