ライフサイクルシミュレーションを用いた自動車のシェアリングサービスのシナリオ分析

摘要

近年，気候変動への対応が重要な社会課題となっており，二酸化炭素（CO_2）排出量の削減が求められている．中でも，自動車の製造や走行はCO_2排出に大きな影響を与えているとされており，自動車によるCO_2排出を削減する方策の一つとして，自動車のシェアリングサービスが考えられている．自動車のシェアリングサービスには自動車という製品自体を共有化するカーシェアリングと相乗りを行うライドシェアリングの2つの形態がある．これらは自動車の稼働率を向上させて生産台数の減少を促し，自動車製造時のCO_2排出量を低減させると期待されている．特にカーシェアリングはこの効果が大きいと考えられており，Bertらはカーシェアリングが促進されることで世界各地の販売台数が減少すると示している．一方で，ライドシェアリングは乗客を迎えに行くための迂回路の発生などを促し，走行時のCO_2排出量を増加させる可能性がある．このように自動車のシェアリングサービスは製造時のCO_2排出量を減少させる可能性がある一方で，使用時のCO_2排出量を増加させる可能性もあるため，自動車のシェアリングサービスによるCO_2排出量への影響を製品ライフサイクル全体で評価する必要がある．