巨大絵画の展示空間構成と鑑賞視点が作品の印象に与える影響　その3:「秋田の行事」と風景画像の比較による実験

摘要

1）近接体験効果の有無（近くで先にみる，遠くで先にみる）　近接体験効果は「秋田の行事」特有のものではなく，すべての比較対象でみられた。ただし，力強さ，個性的，近くでみたいかどうか，といった一部の評価にとどまる。特に奥行き感のある対象では，近づきたくなる効果が強まる。2）その他で影響がある要素　　今回用いた比較対象から，人物の有無や，均質な色合いの大きさの影響が考えられる。人が多い対象に近接体験効果が確認できた。　「秋田の行事」のように，人物が多く描かれていたり，動き（躍動感など）がある絵画の場合には，はじめに全体をみてから近づいて間近でみる空間構成が，より印象を深めるといえる。そうした空間構成は「幻の美術館」のみで，より印象深く作品を鑑賞するには，「幻の美術館」が最も良い計画であったと考えられる。