欧州における環境と観光の共生を試みる小規模自治体の取組に関する考察:オーストリア・Werfenweng の事例から

摘要

Werfenweng の取組は、国際的なネットワークへの参画や補助プロジェクトの継続的な獲得によって成果をおさめていると考えられる。このため、観光や環境に関連する団体から数多くの賞を受賞している3)。またメディアにとりあげられることも多く、欧州内での知名度があがり、地域のブランディングにも貢献している。しかしながら、SAMO カードのしくみの変更に伴い、利用者が減少していることや、村内の開発投資が急激に進められている点において、ターニングポイントを迎えていると考えられる。2012 年に、これまでWerfenweng になかった近代的ホテル（客室数400 室）ができて客層が広がった。ホテルにはカンファレンスセンターが併設され、報奨旅行等のビジネスユースの来客の増加が期待されている。さらに商業施設やスキー場施設等が新たに建設された。人口、特に若年層が増えており、若年層の住まいとなるアパートメントの建設も進められている。これまで品質を保ってきた景観や環境保全に対する考え方、コンセプトを改めて検証していくことが今後の課題といえる。