アクティブシルバーのためのライフイノベーションに関する研究: 生活様式と行動パターンについて

摘要

本研究では、調査対象者計25 名に行ったヒアリング調査をもとに把握することができた生活スタイルと行動パターンを分析・考察した．実態としては世間一般のパラダイムでは捉えられないほど，実際に多様であることが明らかになった．また高齢者施設の評価に関して，仮に介護が必要な状態になった場合の暮らし方についてヒアリングを行ったところ，調査対象者全員が施設での介護を拒んでいた．3 章の実態からも明らかになったように，アクティブシルバーは非常に能動的な生活をしていることから，そうした受動的かつ消極的な生活スタイルは適合しない．近年既往の高齢者施設・住宅の多くは，地域密着的生活スタイルを提案しているが，それではニーズを捉えきれない．これほど多様な生活や活動を展開する高齢者にとって，従来の施設計画や介護制度，高齢者向けの福祉制度は間尺に合わない．今後これらに関しては，より一層多様化していくと考えられるライフイノベーションを本研究における視点のみならず，住まい方などの観点なども鑑みながら検討していく必要がある．