地域ブランド化活動からみる地域振興—農商工連携で選定された江別の例から一

摘要

本論の課題は，「江別小麦」を事例に，「地域ブ ランド」化の現状と展開方向を検討することである.「江別小麦」は，農商工連携の先進的な例88選 に選ばれた.ここにいう農商工連携とは，農業-工業.商業に携わる企業や人が連携することによ り，新しい産業や製品力生まれて経済が活性化し， 地域が経済的に自立することをねらいとする異産業 間連携の支援施策である.も.つとも，異なる産業 間の連携というィメージがっかみにくいため，農林 水産省と経済産業省が共同して，先進的な例が公 募され，平成20年4月に88件が選ばれた.本稿では，その1つに選定された，江別市の地元産小麦 をめぐる地域ブランド化の活動を取り上げた.地域ブランド化は，平成17年に地域商標登録の 要件が緩和されてからは，各地域でよくみられる ようになった取り組みで，地域活性化をねらった ものである.農商工連携支援施策も，中小企業の 支援を通して，地域経済が自律し活性化すること を期待している.江別の地域ブランド化の活動は， こうした施策の先駆けになったと考えられる.